小学生の時におばあちゃんに連れられて妹と「ちあきなおみオンステージ」を清水市民会館に見に行ったんですけど、司会を担当していたダーク大和というマジシャン(安来節のBGMにのってどじょうすくいをするマジックで有名)が歌謡ショーの合間に手品をやったんです。
で、ダーク大和が「今からお客様に協力していただいて手品をお見せします」、と目が合った瞬間、「キミ、ステージに上がっておいで」って言われてドギマギしてたんですけど、おばあちゃんも妹も「行きな!行きなっ!!」みたいな雰囲気だものだから、「まあいいか」と下手の階段を上っていったんです。
「はいキミ、お名前は?」
「すぎうらくにひろです。」
「はい、それでは杉浦くんに協力してもらって、今から手品をします。杉浦くん、目の前の空気を、、、はい、つかんでー。空気が逃げないようにギュ〜〜〜っと握っておいてね。そしたら手の中の空気をこのバケツに勢いよく入れてちょうだいな。」
ブリキのバケツに掴んだ空気を投げ入れると、なんと、10円玉がガチャン!って入るんです。なにもないとこからですよ!!!何回やってもガチャン!って。
でも、なぜかお客さんたちが沸いてるんです。
1回だけ10円玉が床に落っこっちゃって「今のは失敗でした」。するとまたまた大爆笑。
とても不思議で不思議でしょうがなかったのですが、キツネにつままれたように首をかしげたりしてる僕に、お客さんはやんややんやの大興奮。ワケのわからないまま、万雷の拍手を浴びて客席に戻りました。
帰りにおばあちゃんと妹に「すごく不思議だったんだよ!!だって空気をつかんでポンってやると、ほんとに10円玉がどっからともなく落ちてきたんだよ!!」って話したら、またゲラゲラ笑ってるんです。
「どういうタネだったの?」って聞いても、おばあちゃんと妹は顔を見合わせてニヤニヤするばかりで、ちっとも教えてくれないんです。
未だに真相がわかりません。
ダーク大和さんは1991年に亡くなりましたが、テレビでお姿を見るたびに、あの時の光景が甦ってきたものです。
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